Windows の WSL で Python 開発環境を構築する方法(1/2)

2025/03/04

Python Windows アプリ 開発環境 研究

t f B! P L

こんにちは

WSL(Windows Subsystem for Linux)を利用すると、Windows 上で Linux 環境を手軽に利用でき、Linux のパッケージ管理やシェル環境を活用した開発が可能になります。ここでは、WSL の有効化、Linux ディストリビューション(本記事ではUbuntu)のインストール、そして Python 環境の構築手順を詳しく解説したいと思います。

特に、Pythonを使ってWebアプリケーションを構築しようと思っているときは、WSLにPythonをインストールするのがよいと思います。多くの Python でのWeb開発では Linuxベースの説明になっていることが多く、ほとんどのWebアプリもLinux上にデプロイされることが多いので、開発環境も合わせておくとよいと思います。

1. WSL での Ubuntuのインストール

これまではWindows機能の有効化と、Windows storeからのUbuntuのインストールと2段階の手順が必要でしたが、今は以下に示す1段階の手順でインストールできます。
Windowボタンを右クリックし、メニューから「ターミナル」を選択しPowerShellを開きます。
開いたPowerShellウインドウでwsl --list --onlineコマンドを実行し、インストール可能なディストリビューションを確認します。

wsl --install コマンドを実行することで、UbuntuディストリビューションがインストールされますがUbuntuのバージョンが分かりにくいため、今回はディストリビューション指定でインストールします
Ubuntuの安定版 Ubuntu-24.04 をインストールします。コマンドは wsl --install -d Ubuntu-24.04 です。installのところは-(ハイフン)記号が2つついていますが、dの前は1つです。

インストールが終わると以下の表示になります。

念のため、インストールされているディストリビューションを確認します。
Ubuntu-24.04がインストールされていることを確認できます。先頭に*がついているディストリビューションがありますが、これはデフォルトで起動するディストリビューションを表しています。はじめてwslでLinuxをインストールした場合は今回インストールしたUbuntu-24.04のところに*がついているはずです。後ろのVERSIONのところの2はwslのバージョンですので、2のままで問題ないです。

さきほどのインストール後の画面の指示通り wsl -d Ubuntu-24.04 を実行します。初めてUbuntu-24.04を起動した場合はユーザ名を聞かれますので、Ubuntuで使いたいユーザ名を入力します。スペースや日本語などは使えませんので、ローマ字でわかりやすい名前を設定して下さい。
続いてこのユーザ用のパスワードを設定します。
パスワード入力の注意点は、キーボードから入力しても何も表示されないことです。何も表示されないのですが、実際にはキーボードからの入力は受け付けていますので、パスワードを入力後にEnterキーを入力してください。そうすると Retype new password: と表示されますので、同じパスワードを再度入力し(画面に表示はされません)、Enterキーを入力してください。

※グレーになっているところは実際には私が設定したユーザやホスト名が入っています。
上記のようなプロンプトが表示されればWSLへのUbuntuのインストールは完了です。

次からは、スタートメニューからUbuntu-24.04を選ぶことで、この画面が起動します。


2. WSL 内での Python 環境の構築

  1. Ubuntuパッケージリストの更新
    ターミナルで以下のコマンドを実行して、パッケージリストを最新に更新します。
    Ubuntuではインストールされているコマンドやパッケージをaptコマンドを用いて操作することができます。Pythonをインストールする前にUbuntuのパッケージリストを最新にしておきます。
    コマンドは sudo apt update です。パスワードを聞かれますが、最初にUbuntuを起動したときに設定したパスワードを入力してEnterです。前回同様パスワード入力時はキーボード入力は表示されません。



    正常にパッケージリストがアップデートされると上記のような表示になります。

  2. Python のインストール
    次に、Python3 および pip をインストールします。コマンドは、sudo apt install python3 python3-pip です。

    [sudo] password for <user>: 
    と聞かれた場合は、Ubuntuの初回起動時に設定したパスワードを入力します。sudo は super user でのコマンド実行をするときに使うコマンドで、後ろに続くコマンドを特権ユーザで実行することを意味します。

    Do you want to continue? [Y/n]
    ではYを入力します。Linuxではこのような [Y/n]の入力を聞かれることがあります。Yはyesを、nはnoを意味します。Yの方が大文字になっていますので、何も入力せずにEnterを打鍵するとYesが入力されたとみなされます。今回はyを入力します。

    以下のような画面が続き、インストールが完了します。

  3. インストールの確認
    インストールが完了したら、以下のコマンドで Python のバージョンを確認します。

    3.12.3がインストールされていることがわかります。

    また、同時にインストールしたpip のバージョンも確認しておきます。pipはpythonのパッケージマネージャーです。Pythonで使われる追加のパッケージはpipで管理されます。

  4. Python の実行テスト
    簡単なPythonのコマンドを実行して確認してみます。

~$ python3
Python 3.12.3 (main, Feb  4 2025, 14:48:35) [GCC 13.3.0] on linux
Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information.
>>> 1+2
3
>>> 2*2
4
>>> 3/3
1.0
>>> 4-4
0
>>> exit()

4. WSL 上での Git インストール(基本設定)

Git は、現在最も一般的に利用されるバージョン管理システムです。バージョン管理システムを利用すると、ファイルの変更について、誰がいつどのような変更を行ったかを追うことができます。そのため必要に応じて元に戻したり、複数メンバーとのコラボレーションを効果的に行うことができます。
少しわかりにくいですが、GitはWindowsとWSLのUbuntuの両方にインストールできます。今回はWSL上のUbuntuへのインストールについて説明し、Windowsへのインストールとcredentialなど注意点については別の記事にしようと思います。
  1. Git のインストール
    WSL 内で Git をインストールするには、以下のコマンドを実行しますが、すでにインストールされていると思いますので、その場合はインストールする必要はありません。
    sudo apt install git
    上記ではインストールコマンドを実行していますが、すでにインストール済みであることが表示されています。
    gitコマンドからバージョンも確認できます。


  2. Git の設定
  3. 初期設定として、ユーザー名とメールアドレスを設定します。名前とメールアドレスは自分の使用しているものを設定してください。こちらに設定されたものがGitの履歴登録時に利用され、他のユーザに共有したときに変更した人の情報として表示されます。
    git config --global user.name "Your Name"
    git config --global user.email "your.email@example.com"



5. まとめ(1/2)

WSL 上に Ubuntu をインストール、さらに Python と Git の環境を構築するまでの手順を解説しました。
これで、WSL 上で Python を利用した最初の開発環境が整いました。
次の第2部では、VSCode を利用して WSL 上の環境に接続し、快適な開発環境を構築する方法を解説しようと思います。

では。









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